2009年4月12日。
この日は、奈良県でおいしい焼き肉をお花見をしながらみんなでワイワイと食べて楽しく過ごすイベントがあるらしい。
同時刻、福島県の某所は・・・・・・特にワイワイすることもなく静かな時間が流れていたのであった。
築40数年の古い家の二階のコタツに、そう、4月なのにコタツに入って悶々としている中年男が1人。
「悶々(もんもん)」
なんというか「中年」でしかも「悶々」で「コタツ」に入っている段階で、かなりオワタ状況である。
なんといっても「春」という生きとし生けるもの全てが、それまでの厳しい冬から解放されて「さあ、みんなで高々と飛び立ちましょう〜」という季節に、「暇をもてあまして悶々」としているのはなんと不健全なことか。
若い女性が春にコタツで悶々・・・ならば、これからの展開は、3流エロ小説かもしくは一気にそれまでの女性の半生と内面を深く考察するような純文学の方向に進んでしまうのかもしれないが、オヤジ・・・では正直展開が期待できないのだ。
「このままではいけない。」
そのオヤジはやわら立ち上がり、「ウモ〜〜〜〜〜!!」と言いつつ、パジャマを投げ捨てTシャツを脱いでジーンズをよろめきつつ履いて、よくわからない黒いTシャツに着替え靴下を履き、ジャンバーを羽織ってガレージへと向かった
のであった。
ガレージではK-3が幌を外された状態で置かれていた。
男は西の空をキッっと目ヤニの付いたマナコで睨み、「雨降るかもしんない」と小さくつぶやいた。
そして慣れた手つきで幌を取り付け、デイキャンプセットの入ったバックとお米と水を無造作にK-3に載せ、イグニッションキーを回してブレーキーペダルをけっ飛ばした。
K-3は軽く咆吼し、すぐにアイドリング状態になった。
男はゆっくりとした動作でシフトをリヴァースに入れて、近所の「スーパーキクチ小川町店」に向かったのだった。
しかし、走行中、男はある異変に気がついた。
「左のフェンダーがやたらブレているな・・・」
すぐさまK-3を減速させて走る。
男は、少しイラっとしながらトリップメーターを見たのだった。
そして、「7600をちょっと超えたか・・・・。長持ちした方なのか??」と心の中で自分に問いかける。
ああ、でもミルキーさんは、結構早めに折れてたような気もするなぁ・・どのくらいの走行距離で折れたんだろうか・・・と目の前の不安から注意をそらすように、若干本題から外れたことを止めどなく考えてみるのだった。
そしてK-3ではなく、MC-1でデイキャンプになるかもしれないな。っと男は思った。
しかし、すぐさまその考えは成り立たないことに気づいた。
「今回は電磁ポンプでないといけないのだ。電磁ポンプでなければ・・・」と男は心のなかで反芻するようにつぶやいた。
ガレージからK-3を出したときに、今回のデイキャンプをまとめた形でHPに掲載しようと決めてたのだ。
そのためにはある程度画質が得られるデジカメを準備しなければならない。そこで予備バッテリーも併せて持ってきてたのだった。
今ここで車両を変えてしまっては、掲載する構成も変えないといけない。
男にとって、それはなんだかそれがとてつもなく億劫な作業のように思えたのだった。
とりあえず、フェンダーステーに関しては応急措置をしてしまえばいい。なにか適当な金属板で仮固定が出来れば良いのだから・・・。と思い直すことにしたのだった。
やがてスーパーキクチに到着し、男はK-3から降りて左のフェンダーステーを確認した。
かなり肉厚が薄くなった部分が疲労破壊した感じである。
溶接のためかカットされた鉄板部の一番薄い所は1mmも無いくらいであった。
これでは折れてもしょうがないのかもしれない。
男は深くため息をつき、当面は応急措置をしたとしても注意して乗らないといけないなぁと思ったのだった。
さて、スーパーキクチには買い物に来てたのでその用事をさっさと済ませないといけない。
男の目的は特売の「味付け牛カルビ」の購入であった。
このお肉は心ときめく2つのキーワード、すなわち「牛」と「カルビ」のコンボ技に、「味付け」のとどめを刺したような「そこまでやるか」的存在である。
しかも、大抵のスーパーで販売されていて、かなり安いのである。
安い理由はおそらく、定型に切られた肉の余りの部位を使っていること、味付けといういわゆる「漬け」状態で加工されているため、精肉といってもやや日持ちするので歩留まりが良いのがあげられるのではないかと推測しているのだが定かではない。
しかし、このお肉はものすごい欠点がある。
サラダオイルをフライパンに落とし焼き肉状態で炒めると、なんとも「臭い」肉汁がでるのだ。
これがまあ、イタダケナイ。安さに釣られて買って痛い目に遭う典型的な食材なのだ。
そもそも、これがバカウマなお肉だったら、この肉から少し離れて鎮座している「牛カルビスライス 100g200円」クラスのお肉が売れないではないか。
さらに、その先にある「牛カルビスライス (国産) 100g350円」なども、単なる高いだけのニギヤカシ的な存在で終わってしまう。
世の中そんなにアマく無いのである。
当然、「おうちで焼き肉」の場合には忌み嫌われてしまうような肉なのだが、今回、あえてこのタブーに挑戦したいと思った。
それに、今回はこちらも丸腰で戦うわけではない。秘密兵器があるのだ。
しかし、せっかく「スーパーキクチ」に来たのだけれど、お目当ての「フライパンで焼くとこの世の終わりがやってくる牛カルビ焼き肉用味付け」は売ってなかった。
いたって、ふつーな精肉が陳列されているではないか。あ、でも良く目を凝らしてみるとその隙間に「コテッチャン」や「牛タン塩味」などが並んではいた。
が、男が目当てにしてた牛カルビは無かった。
これは、スーパーキクチ小川町店店長である鈴木長一(53)の陰謀によるものなのか?それとも購入した主婦からクレームを受けてしまい、おもわずビビってしまった精肉担当の吉野孝子(46)のヘタレな結果なのか・・・・。
しばらく精肉売り場の前でウロウロする男。
それを12mほど離れたおかし売り場から監視する私服警備員の笹岡為三(62)が目を光らせて「オレの長年の経験からして、あの男はかなり怪しい」とばかりに少し前から凝視しているのだが、男は「ニク、ニク、ニクナイ、おでのニク、ニク・・・」と一向に笹岡の視線には気づいていない。
「しかたない、、国見町のキクチにいくか」と男は心の中で決心し、スタスタとスーパーキクチ小川町店を出たのであった。
K-3を走らせてすぐ、思いっきりガタガタと振れている左フェンダーの存在が凄く気になってしまった。
男はハンドルを切って、自宅に戻った。
そこで折れている部位をアドエスのデジカメ機能で接写撮影し、ブログを更新した。
その後、ガレージに転がってた適当な金属板に穴を開けてフェンダー固定用のナベネジを通せるようにして、それをステーの代りにフェンダーに固定し、さらのその本体をステーにインシュロックタイで固定したのだった。
手で動かしてみると容易に動くものの、走行時の振動にはある程度耐性が出てくると考えた。
しかし、このステー。
走行時の振動もそうであるが、走行風の影響も結構半端無いのではないか?と男は考えた。
最近建築確認申請をする上で、壁面の地震力と風圧力の耐力に関して少し知識を得ているのでそんなことも思ったりしてたのだった。
これでデイキャンプをしにいくのは少し気が引けたが、今回はK-3じゃないと始まらない企画であるの心配するのを止めて、K-3に工具一式を積み込んで「スーパーキクチ 国見町店」を目指したのであった。
休日で昼時を少し過ぎた「スーパーキクチ 国見町店」は、さほど人が多くない状況であった。
男は真っ先に精肉売り場を目指した。
そして目的の「牛カルビ」を発見する。
しかし、なんということだ。思ってたよりもかなり安かった。100g100円で販売されており、一番量の少ない牛カルビを選ぶと222gで222円だった。
今日の昼飯はなんて安上がりなのだ!と男は少しコーフンしつつレジに向かった。
途中、酒売り場で最近CMが流れているノンアルコールビールが128円で売っていることに気づく。
安いなぁ・・・と感動しつつ、1本購入する。
焼き肉を食いながらコーラでは味気ないし、かといって本当のビールでは飲酒運転になってしまう。
ノンアルコールビールならば、まあ格好は付くだろうという判断だった。何の格好なのかとかいうつっこみは無しにしてほしい。たぶん、試しに飲んでみたかっただけなのだと思う。
さて、レジに肉とノンアルコールビールを差し出すと、「こちらの商品、半額になります」と小太りで明らかに眉毛を描いているチェッカーの若い女性が言ってきた。
どことなく和製ビヨンセの渡辺直美に似ている。
ええ?半額!?この肉が・・・・・と絶句する。
100g50円なんですよ!222gの肉なのに111円なんですよ!!どんだけデフレなんですか!?と思考が混乱してしまう。
結局、
・キリンフリー350 128円
・牛味付きカルビー焼き肉用(小)111円
合計239円を支払ってスーパーを出たのだった。
今日のランチはノンアルコールのビール付きで239円かよ、、、と思いつつK-3に乗り込み、お花見のポイントである「高倉ダム」へ向かったのである。
とまあ、この辺は誌面に出ないイントロダクションなのである。
ここからはBe-PAL風に構成するのだっ!